5分で読める【DXとは?~企業の存続のためのDX~】前編

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5分で読める【DXとは?~企業の存続のためのDX~】前編

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ここ数年で、よく目や耳にするようになった「DX」。

IT Worldでも、DXに関する様々なセミナーを開催してまいりましたが、皆さまの会社ではDXへの取り組みは進んでいますか。

今年4月に、アメリカの大手小売り販売のベッド・バス・&・ビヨンドが、経営変革を続ける競合の小売業最大手のウォルマートに競争で負け、経営破綻をしました。その大きな原因として「DXへの取り組みの遅れ」が指摘されるなど、DXへの取り組みが企業の存続に大きく関わることが、多くの企業に実感として危機感を与えるニュースとなりました。

日本経済新聞デジタル「ベッド・バス破綻、ウォルマートと明暗 DX遅れの教訓」

本コラムでは、どのように中小企業はDXをすすめ、DXを進めていけばよいのか、全2回にわたって解説していきます。

前編の今回は、DXとは、そして日本でのDXの現状と、その原因までを解説いたします。

DXとは?

DXとよく似た言葉で、デジタル化やIT化がありますが、ここではまずそれぞれの言葉の定義とその違いを見ていきたいと思います。

▶デジタル化(Digitalization)

デジタル化とは、既存のアナログ作業をデジタルに置き換えることを指します。

例:対面の打ち合わせをオンラインで行うこと
  紙のタイムカード打刻をやめ、勤怠管理運用をシステム運用に移行すること

▶IT化(Information Technology)

ITとは、コンピューターやネットワークなどの技術全般を指します。
IT化とは、これらの技術を活用しアナログ作業をデジタルに変換することで業務効率や生産性向上を実現する仕組みを構築する取り組みを指します。

例:勤怠管理をシステム運用に移行することで、集計作業を自動で行う必要がなくなり工数削減を実現

▶DX(Digital Transformation)

デジタル化により、ビジネスモデルや人々の生活を変革させることを指します。

例:B2B事業をネット活用することでB2C領域まで拡大させること
   勤怠管理をシステム運用に移行することで、これまでは導入が難しかったフレックスタイム制や

  リモート勤務等を導入し、従業員の働きやすい環境形成の実現

このようにDXとは、既存業務を単にデジタルに移行することではなく、デジタルに移行することによって、企業の抱える課題の解決、そして変革を起こし新たな価値を創造していくということを指します。

日本のDXの現状/2025年の崖

このDXという言葉が広く普及されたきっかけとなったのが、2018年に経済産業省が発表したDXレポートです。

このレポートでは、日本企業においてのDXへの取り組みの現状と課題の指摘と、その対応策が示されています。

レポート内で特に指摘されたものが「2025年の崖」問題となります。

2025年の崖、とは日本企業が現状のままDXを実現できない場合、2025年以降最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じると指摘するもので、これをきっかけにDXという言葉が広く周知され、多くの企業がDXへの取り組みを意識するようになっていきました。

しかし、2022年の中小企業の経営者を対象とした調査では、DXについて理解をしている経営者は全体の半数にも満たず、またDXへの取り組みを行っている企業は、わずか7.9%にとどまっています。

中小企業白書2022年版より

経済産業省が警報を鳴らす2025年まで、あと2年を切っているにも関わらず

なぜ企業のDXは進まないのでしょうか。

DXが日本の中小企業で進まない原因

①経営者の理解・危機意識不足

先ほどもグラフとあわせてご紹介いたしましたが、経営者が先陣を切って取り組んでいかなくてはいけないにもかかわらず、理解している経営者は、全体の半数に足りていません。そのため、2025年の崖問題や、DXに取り組まないことで生じ得るリスクについての想定ができず、危機意識が持てない経営者・層がいることが、取り組みに至っていない原因の大きな一つと言えます。

②現場担当者の高齢・属人化

また、現場の高齢化や属人化も取り組みが進まない原因の一つとも言えます。

DXの前提となるデジタル化に対して、企業に長年勤める中年層から高齢層の従業員からの反対の声が強く進められない、といった要因もあります。

また、デジタル化によって自身の社内での優位性が危ぶまれるのではないか、といった意識からのデジタル化への抵抗も、DXの前提となるデジタル化が中小企業で進まない原因の一つとして指摘されています

③人材不足

経営者や従業員の理解を得られ、DXを進める意識づくりが社内にできても、専門の知識を有した人材がいないなかで、DXを進めることは大変難しいです。

中小機構の調べによると、DXに取り組むに当たっての課題に、DX・IT関連の人材不足が上位に挙げられていることからも、日本の中小企業においてDXが進まない要因となっていることを明確に示しています。

④コスト

予算確保が難しいことも、③に並列してDXへの取り組みにおいての課題として挙げられています。③で指摘したDX関連の人材を雇うことや、デジタル化を進めるための設備投資等にかかる資金の捻出が難しいため、取り組みが進まない、という中小企業は少なくないでしょう。

後編では、これらの課題をクリアしたうえで、どのようにして日本緒中小企業はDXに取り組んでいけばよいのかを解説いたします。

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