魂のQ&A vol.89
高年齢者就業確保措置について
〔質問〕
令和3年4月1日より、70歳までの就業機会の確保が求められるようになったと聞きました。 具体的にどのようなことが求められるのでしょうか?
〔回答〕
今回の法改正は、65歳から70歳までの就業機会を確保する努力義務を定めたものです。
現行の法律と異なり、70歳までの雇用を確保することを義務付けたものではありません
具体的な内容は以下の通りです。
『雇用による措置』と『雇用によらない措置』のいずれかを選択、又は両方の措置を講ずること
雇用による措置 |
創業支援等の措置 (雇用以外の措置) |
①70歳までの定年引上げ
②70歳までの継続雇用制度の導入 (特殊関係事業主〔子会社、関連会社等〕に加え て、他の事業主によるものを含む) ③定年の廃止 |
①高齢者が希望する時は、70歳まで継続的に業務
委託契約を締結する制度の導入 ②高齢者が希望する時は、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度 の導入 A )事業主が自ら実施する社会貢献事業 B)事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業 |
※創業支援等措置のみを講じる場合は、過半数労働組合・過半数代表者の同意を得た上で導入
対象者を限定する基準
高年齢者就業確保措置を講ずることは努力義務であり、対象者を限定する基準を設けることができます。基準については、労使十分に協議した上で、各企業の事情に合わせて定めることが求められます。
ただし労使で協議した場合であっても、事業主が恣意的に特定の高年齢者を措置の対象から除外しようとするなど高年齢者雇用安定法の趣旨や、他の労働関係法の趣旨や公序良俗に反することは認められないとされています (指針第2-1(3)ただし書き)。また、対象者を限定する基準については、必要とされる能力等が具体的・客観的に示されていることが望ましいとされています。
基準例
- 直近の健康診断結果及び産業医の診断を基に、勤務の継続に支障がない状態と認められた者
- 過去〇年間の人事考課が□以上である者 等
なお、現行の65歳(到達)までの高年齢者雇用確保措置に変更はありません。
したがって、今回の法改正により2025年以降の65歳定年が義務付けられる訳ではありません。