魂のQ&A vol.85

魂のQ&A vol.85

在宅勤務におけるみなし労働時間制について

〔質問〕

新型コロナウイルス感染予防のため、当社では新たに在宅勤務制度の導入を検討しています。在宅勤務であれば「事業場外労働のみなし労働時間制」を利用することができるのでしょうか?

〔回答〕

在宅勤務をしているという理由のみで「事業場外みなし労働時間制」を適用できるわけではありません。在宅勤務であっても、労働時間を算定することが可能な状況であればみなし労働時間制は適用できず、通常の労働時間管理が求められます。

自宅で業務を行うことで、勤務時間とプライベートが混在して切り分けが難しく、労働時間の算定が困難な場合には、あらかじめ定めておいた時間労働したものとみなす「事業場外みなし労働時間制」を適用することができます。しかし在宅勤務時における「みなし労働時間制」は、ガイドラインが示す以下の3つの要件を全て満たしている場合のみ、適用されます

»当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること

»当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

→「使用者の指示により常時」とは、自分の意志で通信可能な状況を切断することが使用者から認められていない状態を言い、「通信可能な状態」とは、上司が部下に対してメールや電話等で随時具体的な指示を行うことが可能であり、かつ上司等から具体的な指示があった場合、部下がそれに即応しなければならない状態(すなわち、具体的な指示に備えて手待ち状態で待機しているか、または待機しつつ実作業を行っている状態)を意味しています。

»当該業務が、随時使用者からの具体的な指示に基づいて行われていないこと

→当該業務の目的、目標、期限などの基本的事項の指示や変更の指示をすることは含まれていません。

 

注意点!

在宅勤務におけるみなし労働時間制は、従業員に客先への電話対応といった即応を求めたり、具体的な指示を行ったりしないという条件のもとで認められているものです。また、みなし労働時間制であっても、深夜や休日勤務を行った際は労働時間として算定し、割増賃金を支払う必要があります。