【5分でわかる】運送業の働き方改革 〈概要編〉

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【5分でわかる】運送業の働き方改革 〈概要編〉

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こんにちは。

皆様は、最近物流業界で話題の「2024年問題」をご存知でしょうか。

この物流の「2024年問題」は、時間外労働時間の上限規制や改正改善基準告知が適用され、労働時間が短くなり輸送能力が不足してしまうことから、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されています。

そのため今回は、この物流の「2024年問題」に対応していくために知っておきたい「運送業の働き方改革」について〈概要編〉〈対応編〉〈システム編〉の3部に分けて解説いたします。

 

2024年4月に施行される「運送業の働き方改革」では、改正労働基準法に具体的な数字の上限時間等が明記されているため、違反した場合は「罰則」が適用されます。

この罰則は、従業員ではなく「企業」が対象となります。

たとえ、従業員が企業に無断で過重労働を行った場合でも、罰則や罰金の支払は企業に科されますので、こうした罰則を避けるためにも、労働時間の上限規制等を守ることができるよう慎重に準備していきましょう。

今回は第1回、働き方改革の概要についてお届け致します。

このコラムは

・運送業の働き方改革の変更点や概要が理解できていない
・実際対応していくにあたって、どう進めてよいのかがわからない

といったお悩みをお持ちの方に最適な内容となっています。

運送業の働き方改革が施行される背景・現状について

まずは運送業の働き方改革が「どのような背景で」「何を改善するために」施行されるのか、簡単に理解していきましょう。

運送業の働き方改革が施行される背景として、下記の4つが挙げられます。

(図表.1)を参照し1つずつ見ていきましょう。

長時間労働の常態化
低賃金の常態化
労働者の高齢化
人材不足の深刻化

「運送業の現状」(図表.1)

 ①長時間労働の常態化  

運送業は現在長時間労働が常態化しています。

厚生労働省の調査によると、全業種の労働時間と比べて、年間400時間以上もの差があり、圧倒的に運送業の方が長時間労働している状態です。

では、なぜ運動業はこのように、長時間労働が常態化してしまっているのでしょうか。

それは、このような要因が挙げられます

・手待ち時間の未解消
・給与体系と業務構造
・運転手の労働基準法
・運転時間と荷扱い時間

上記の要因等から長時間労働になっていますが、この要因の中には、荷主側の運用問題もあるため、自社では改善しにくい部分でもあると言われています。

 ②低賃金の常態化 

長時間労働となると、働く時間が長い分、給与の水準も高いと考えられるかと思いますが、低賃金も常態化しています。

上記のグラフ(図表.1)を見ると、長時間労働であるにもかかわらず、低賃金であることがよくわかりますよね。大型トラック運転者に関しては、全業種平均と比較して、36時間も労働時間が多いですが、賃金は3万円低い状態となっています。
また、厚生労働省の調査によると、全体の年間収入は徐々に上がってきていますが、トラックドライバーと全産業平均を比較すると大きな差がある状態です。特に、中小型トラック運転者は、約50万円もの差が開いており、大型トラック運転者よりもさらに低賃金となっています。

 ③労働者の高齢化 

トラック運転者の平均年齢は、大型トラック運転者で49.9歳、中小型トラック運転者で47.4歳となっており、全産業平均の43.4歳と比較すると、トラック運転者の方が5歳ほど高くなっています。また、40歳を境目に40歳以下の割合が減少、40歳以上の割合が増加しており、働き盛りな25歳から34歳の割合が少なく、55歳以上の割合が多い状況です。

この若年層の入職率が低い状況は、上記で挙げたような長時間労働や低賃金などの「運送業」全体の印象の悪さによるものだと考えられます。

 ④人材不足の深刻化 

人材不足という課題は、中小企業の全体の課題でもありますが、運送業は顕著に表れています。※有効求人倍率から運送業の人材不足を見てみると、全産業平均の約2倍の数値となっており、いかに運送業が人材不足問題を抱えているかということがわかりますよね。

さらに、2024年問題の影響でさらなる人材不足の課題が降りかかってくると予想されています。

有効求人倍率:有効求人数を有効求職者数で割って算出し、倍率が1を上回れば求職者の数よりも人を探している企業数が多く、下回れば求職者の数の方が多いことを示します。

運送業の働き方改革の概要について

では、運送業の背景を理解できたところで、今回のメインである「働き方改革」の概要に入っていきましょう。

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(以下:改善基準告知)」は、トラックドライバーの労働時間等の労働条件の向上を図るため、労働基準法では規制が難しい「拘束時間」や「休息時間」「運転時間」等の基準が定められています。

 ①改正の主なポイント 

以下のポイントが主に改定されます。

拘束時間は現在年間3,516時間のところ、2024年4月以降は3,300時間以内とされ、さらに1カ月の拘束時間も293時間から284時間と変更されました。

また、休息時間に関しては、現在継続8時間以上与えることとされていますが、改定後は継続11時間以上与えることを基本とし、9時間を下回らないようにすると改定されます。

その他にも、運転時間や連続運転時間も改正されることから、これまでの規制に比べてより厳しい規制となっています。

このように多くの上限規制が改定された「改善基準告知」ですが、来年の2024年4月から完全適用されることが決定しています。そのため、対応が出来ていない企業様は、早急に対応を検討していきましょう。

 ②予期し得ない事象 

続いて、新設された「予期し得ない事象」についてです。

事故・故障・災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間、連続運転時間の規制時間から、その対応に要した時間を除くことが出来ます

〈具体的な事由〉
・運転中に常務している車両が予期せず故障した場合
・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
・運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
・異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難な場合

また、勤務終了後は、通常どおり休息期間を与えなければなりませんので注意しましょう。

 ③特例 

今回は、上記のような「1.改正の主なポイント」「2.予期し得ない事象」で紹介してきた変更点以外にも、「特例」が設けられました。

いくつか特例がありますので、1つずつご紹介します。

〈分割休息〉
継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合は、以下のような分割休憩を与えなくてはなりません。

・分割休息は1回当たり継続3時間以上
・休息期間の合計は、2分割:合計10時間以上3分割:12時間以上
・休息期間が3分割の日が連続しないよう努める
・一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1が限度

〈2人乗務〉
自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する際、車両内に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合は、 最大拘束時間を20時間まで延長し、休息期間は4時間まで短縮することができます。

〈隔日勤務の特例〉
隔日勤務とは、始業及び終業の時刻が同一の日に属さない業務であり、2暦日における拘束時間は21時間を超えてはなりません。

また、勤務終了後に継続20時間以上の休息を与えなければなりません。

〈フェリー〉
フェリー乗船時間は、原則として休息時間とし、乗船時間が8時間を超える場合は、フェリー下船時刻から次の業務が開始されるようにしましょう。

〈休日の取り扱い〉

休日は、いかなる場合であっても30時間を下回ってはいけません

通常勤務の場合は継続33時間
隔日勤務の場合は継続44時間

上記の時間を下回ることのないようにしましょう。

 ④時間外労働の上限と残業割増賃金率 

来年2024年の4月1日から以下の内容が変更されます。

これまで設けられていなかった上限規制が改正されたことから、大きく注目されている「時間外労働時間の上限規制」は、上記のような原則が設けられ、その原則を超える場合でも1年で960時間を超えてはなりません。

また、「残業割増賃金率」も改定され、これまで大企業のみ対象とされていましたが、2024年の4月1日以降は、中小企業も同様50%となりました。

ここで1つ注意点です!

今回は改正労働基準法に具体的な数字の上限時間等が明記されているため、違反した場合は「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」の罰則が適用されることになります。さらに、ドライバーだけではなく運行管理者、点呼担当者なども罰則の対象となりますのでご注意ください。

また、上限規制を大幅に超えて時間外労働・休日労働させた悪質なケースにおいては、厚生労働省が企業名を公表することもあります。

こうしたペナルティを避けるためにも、労働時間の上限規制を守ることができるよう慎重に準備していきましょう。

対応していくためには…

いかがでしたでしょうか。

今回は、運送業の働き方改革の概要についてご紹介させていただきました。

2024年4月というと、まだ大丈夫と考えてしまいますが、対応検討から実際に課題解決に繋げるまでの工数を考えると、意外と時間がありません。

まずは、確実に対応していくためにも、働き方改革の概要をしっかりと理解することが大切です。上記でも概要について取り上げましたが、実は、改定されるにあたり「例外」も設けられています。

そのため今回は、運送業の働き方改革の概要や例外、具体的な変更点などについてイラストを用いてわかりやすく解説しているホワイトペーパーもご用意しています。すでにご検討を始めていらっしゃる企業様はもちろん、まずは概要を知りたいという企業様にもご活用いただけるものとなっています。ぜひご活用ください。

また第2部では「運送業の働き方改革〈対応編〉」をご紹介させていただきます。

概要はわかったけれども「実際どう対応しけばよいかがわからない」「自社に適している運用方法やシステムがわからない」といった方もいらっしゃると思います。

そこで、第2部では、対応していくために必要な確認事項について解説をさせていただきます。こちらの記事とあわせてご覧いただけますと、概要から対応まで一貫してご理解いただけるようになっていますので、ぜひチェックしてみてください!

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また、今回のコラムで、「今一度運用を見直したい」「自社にあったシステムが何か知りたい」と思っていただけた方は、ぜひ下のお問い合わせボタンからお問い合わせください。